昨日、「話し方」について書きました。
私は、少しゆっくりと、言葉と言葉の間に余白を残して話す人が好きです。
では、その余白にどんな言葉を置くのか。
今日は、そんな「言葉」について書いてみようと思います。
私は昔から、言葉というものが好きです。
名言集を読むのも好きだし、誰かが何気なく口にした美しい言葉に、ふと心を奪われることもあります。
形もなくて、触ることもできないのに。
言葉は、人を笑顔にすることもあれば、傷つけることもある。
たった一言で救われることもあれば、何年経っても忘れられない一言になることもあります。
言葉って、不思議です。
そして私は、言葉は誰かに届けるだけのものではないと思っています。
自分が発した言葉を、一番近くで聞いているのは自分自身。
だから、毎日何気なく口にしている言葉によって、少しずつ自分自身も創られていくような気がしています。
「すみません」より、「ありがとう」
私は、なるべく「すみません」を使わないようにしています。
もちろん、使わないわけではありません。
でも、「すみません」と言いそうになったとき、一度だけ考えるようにしています。
これは、本当に謝る場面なのかな、と。
誰かに何かをしてもらったとき。
親切にしてもらったとき。
つい、
「すみません」
と言ってしまうことがあります。
でも、そんなときはなるべく、
「ありがとう」
と言いたい。
せっかく相手が私のためにしてくれたことなら、申し訳なさより、嬉しかった気持ちを返したいからです。
そして、本当に私が悪かったときは、
「すみません」ではなく、
「ごめんなさい」
と言うようにしています。
「すみません」は、とても便利な言葉。
謝るときにも、お礼を言うときにも、人に声をかけるときにも使える。
だからこそ私は、自分の気持ちをもう少しはっきり言葉にしたいと思っています。
嬉しいなら、「ありがとう」。
私が悪かったのなら、「ごめんなさい」。
ほんの少しの違いだけれど、私はそのほうが好きです。
言葉の前に、小さなクッションを置く
私は、クッション言葉もなるべく使うようにしています。
何かを断るとき。
違う意見を伝えるとき。
相手にお願いをするとき。
伝える内容が同じでも、その前にほんの少し言葉を添えるだけで、受け取る側の気持ちは変わると思うからです。
言わなければならないことは、言う。
自分の意見も、きちんと伝える。
でも、だからといって、言葉を尖らせる必要はない。
伝えたいことの前に、小さなクッションを一枚置く。
私はそんなイメージで言葉を選んでいます。
もちろん、いつもできているわけではありません。
自分に余裕がない日もあり、あとになって、
「もう少し違う言い方ができたな」
と思うこともあります。
だからこれは、誰かに勧めたい「正しい話し方」ではなくて。
私自身が、なるべくそうありたいと思っているだけです。
「大丈夫」は、少し慎重に
そして、私が少し慎重に使っている言葉があります。
「大丈夫」
という言葉です。
誰かが悩んでいたり、苦しんでいたりすると、
「大丈夫だよ」
と言ってあげたくなることがあります。
優しさから出る言葉なのだと思います。
でも私は、人に対して軽く「大丈夫」とは言わないようにしています。
その人にとっては、大丈夫ではないから苦しんでいるのかもしれない。
私には見えていない事情があるかもしれない。
これから本当に大丈夫になるのか、私には分からない。
だから誰かに「大丈夫」と伝えるなら、「こういう理由があるから、大丈夫だと思うよ」
と、なるべく理由も一緒に伝えたい。
ただ安心させるためだけではなく、その人が少しでも「そうかもしれない」と思えるような言葉にしたいのです。
それなのに、自分には「私は大丈夫」
ところが、不思議なことに。
私は自分自身には、よく「大丈夫」と言います。
不安なとき。
自信がなくなったとき。
もう少し頑張りたいとき。
「私は大丈夫。」
「大丈夫、大丈夫。」
何度も、自分に言い聞かせます。
そこには、何の根拠もないこともあります。
それでも言います。
人に向ける「大丈夫」には、できるだけ理由を持ちたい。
けれど、自分に向ける「大丈夫」は、根拠がなくてもいいと思っています。
未来を保証しているわけではないから。
自分で自分の背中を押すための言葉だから。
「私は大丈夫」と口にすることで、本当にほんの少しだけ、大丈夫な自分に近づけるような気がするのです。
毎日の言葉が、少しずつ私を創る。
言葉を変えたからといって、人生が突然変わるわけではありません。
綺麗な言葉を使えば、それだけで綺麗な人になれるわけでもない。
それでも。
「ありがとう」と口にする自分。
きちんと「ごめんなさい」と言える自分。
誰かに言葉を届ける前に、ほんの少し相手の気持ちを考える自分。
そして、くじけそうなときに、
「私は大丈夫」
と、自分の背中を押してあげられる自分。
そんな小さな積み重ねは、少しずつ自分を創っていくのだと思います。
洋服を選ぶように。
香りを選ぶように。
私は、自分が毎日使う言葉も選んでいたい。
誰かの心を傷つける言葉より、少し温かくする言葉を。
そして、自分自身も心地よくいられる言葉を。
美しく生きたいと思うからこそ、私は、美しい言葉を選べる人でいたいと思っています。